ビーチサンダルが高級ブランドの主役に──この夏のファッションを読み解く

ビーチサンダルが高級ブランドの主役に──この夏のファッションを読み解く

この夏、ファッションシーンでひときわ熱い視線を集めているのが「ビーチサンダル」です。かつては海やプールで履くカジュアルな存在だったこのアイテムが、今や高級ブランドのランウェイや街角を彩る主役に変貌を遂げています。特に話題をさらったのが、THE ROW(ザ・ロウ)の「Dune」。10万円近い価格にも関わらず売り切れが続出し、SNSでも多くのファッショニスタが愛用する姿が拡散されています。

快適な和紙素材を使うPeparのように、身近なアイテムに上質さを求める流れが広がっているのです。≫Peparアイテムリスト

 

「なぜ今、ビーチサンダルが高級ブランドのアイコンとなったのか?」


ビーチサンダルの誕生と進化

ビーチサンダルの起源は古代にまで遡ります。エジプトではパピルスやヤシの葉で編まれたサンダルが履かれ、ギリシャやローマでは革や木を使った簡易的な履物が普及していました。指の間で鼻緒を挟む形状そのものは、日本の「草履」や「下駄」にも受け継がれ、長い歴史を持つ伝統的なスタイルだったのです。

ビーチサンダル

 

現代的なゴム製のビーチサンダルが誕生したのは、第二次世界大戦後。日本の草履から着想を得たゴム製サンダルが生産され、駐留していたアメリカ兵によって持ち帰られたことをきっかけに、アメリカ本土で「フリップフロップ」として広がりました。特にハワイでは、南国リゾートの気候と相性が良かったことから爆発的に普及し、やがて世界中へと波及していったのです。

つまり、ビーチサンダルは古代の履物文化を土台にしつつも、日本の草履をルーツに持ち、戦後にアメリカから世界へ広まったファッションアイテムといえます。実用品としての側面から始まり、やがてサーフカルチャーやストリートファッションと結びつき、現在では高級ブランドが手がけるラグジュアリーアイテムにまで進化を遂げてきました。

 


THE ROW「Dune」が象徴する“静かな贅沢”

 

2025年夏のトレンドを象徴するのが、THE ROWの「Dune」です。価格はおよそ10万円。シンプルな黒のゴムソールと、コットングログラン素材のストラップだけで構成された極限までミニマルなデザインは、一見するとただのビーチサンダルに見えます。しかし、この「何も足さない」美学こそがブランドの本質であり、静かでありながら確固たる存在感を放っています。

その人気を支えているのはセレブの着用です。ジェニファー・ローレンスやゾーイ・クラヴィッツといったファッションアイコンが日常の装いに取り入れる姿がSNSに投稿され、瞬く間に拡散されました。検索プラットフォーム「Lyst」では2025年第2四半期に「最も検索されたアイテム」としてランクインし、検索数は前年同期比で160%以上増加。まさに「静かな贅沢」を体現する存在として、多くの人々の憧れを集めています。

 


高級ブランドが次々と投入するサンダルコレクション

THE ROWの成功を受け、今夏は多くのラグジュアリーブランドがビーチサンダルやサンダルコレクションを投入しています。

エルメスは落ち着いたモカカラーのクロッグサンダルを発表し、シックな大人の夏スタイルを提案。エンシェント・グリーク・サンダルズからはクラシックなクロッグやロープデザインのフリップフロップが展開され、価格は6〜7万円台と程よい高級感を漂わせています。

ミュウミュウは遊び心あふれるキトンヒール付きフリップフロップを発表し、若い世代の心を掴みました。アライアはサテン素材を使ったヒールトングサンダルをリリースし、グラマラスなムードを演出。さらにトーテムやボッテガ・ヴェネタからはミニマルで洗練されたフリップフロップが登場し、それぞれ5万〜8万円台という価格帯で高い人気を博しています。

高級ブランドがこぞって展開することで、ビーチサンダルは「海辺の履物」から「都会のラグジュアリーアイテム」へと完全に地位を変えつつあります。

 

 

SNSが示す人気の理由

では、なぜ今ビーチサンダルにこれほどの注目が集まっているのでしょうか。SNSやメディアを通じて見えてくる理由は、大きく三つあります。

まずひとつは、ノスタルジーです。ゼリー素材やレトロなデザインが再評価されており、子どもの頃に履いた懐かしさが新しいラグジュアリーと融合しています。ChloéのゼリーサンダルやThe Rowのラバーサンダルは、その好例といえるでしょう。

次に、実用性と快適性長時間歩いても疲れにくく、暑い夏でも蒸れにくいという利点は、旅行やデイリーウェアとしての需要に直結しています。さらに“見せるサンダル”としての進化も人気の理由です。ヒール付きや厚底など、街中でもスタイリッシュに履けるデザインが広がり、ワンピースからデニムまで幅広くコーディネートできる点が、SNS世代の心を掴んでいます。

 

 

ファッションとライフスタイルをつなぐ“涼しさ”

今夏のビーチサンダルブームは、単なる流行を超えて「日常にラグジュアリーを取り入れる」という新しい価値観を示しています。この感覚は、実は靴だけでなく衣服やインナーにも共通しています。例えば和紙素材を使ったPeparの冷感ボクサーショーツは、汗ばむ季節にさらりとした涼しさを届け、目に見えない部分から日常を心地よくしてくれる存在です。シンプルで上質なものを選ぶという感覚は、高級ブランドのビーチサンダル人気とも重なり合っています。詳しくはこちらで紹介されていますので、夏の新しい装いを探している方はチェックしてみてください。

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